ゲッフェン・コンテンポラリー (Los Angeles, USA)   

アメリカ、ロサンゼルス。カリフォルニアの空気の中で、現代芸術の楽しさ、難解さ、面白さに触れる。

ロスアンゼルスのダウンタウンにある現代美術館。このゲッフェン・コンテンポラリーはMOCA (Museum of Contemporary Art, Los Angeles) の別館だ。MOCA本館はダウンタウンの中心街にあるが、この別館は、ダウンタウンの東にある。本館は、地下一階に展示室があることで有名だが、この別館であるゲッフェン・コンテンポラリーは、現代芸術に対する興味を喚起させてくれた場所で、個人的には、重要な美術館だ。

場所は、リトル東京近くにある日系アメリカ人博物館の前の通りを奥に(東に)進んだところにある。1990年代は、治安が良くない雰囲気だったが、2019年に訪れた時には、リトル東京も含め、改善しているように感じられた。

倉庫のような造りの建物は天井が高く、スペースも広い。作品は、抽象画、オブジェ、ビデオ作品、様々なコンテンポラリー系作品を展示している。本館が、正統派の作品展示が多いのに対し、この別館は、広い館内を利用し、大きなスペースを必要とする作品、前衛的な作品を展示している。

初めてこの場所を訪れた時、本物の現代芸術作品に出会った感じがし、気分が高揚した。一般的な現代美術館だと、その美術館の売りとなる1900年代の著名アーティストの絵が飾られているという印象があるが、この美術館では非常に限定的だった。美術館の名前からも分かるようにコンテンポラリーだけに特化しているところが、この美術館の特徴と言えるだろう。

2019年に訪れた際には、1979年の開館から40周年を記念して、40年前頃に活躍していた作家を中心に、この美術館が保持している作品が展示されていた。カリフォルニアを想起させる、カラフルで、革新的、難解な作品が揃っている。これらの作品と雰囲気は、ロサンゼルスという場所が大きく関与していると思う。

通常、この手の展示を行うと、まとまりに欠け、鑑賞後も印象に残らなかったりするが、この美術館は、展示場所の雰囲気と展示方法のスキルが高いため、館内を歩いていても非常に楽しく、改めて、レベルの高さを実感できる。アメリカのコンテンポラリー作品を鑑賞するうえでは外せない美術館だ。

尚、すぐ近くにある日系アメリカ人美術館は、日本人であれば、是非、訪れて欲しい。展示も充実しており、意外な事実を発見できると思う。

ちなみに、MOCA本館の近くには、2015年にザ・ブロードという現代美術館が開館しており、MOCA本館も含め活気を呈しているように見えるが、個人的には、三つの中では、このゲッフェン・コンテンポラリーが一番のお気に入りだ。

1995年、2019年 他多数回訪問。

​基本情報

■ 名称:The Geffen Contemporary at MOCA
■ 住所 : 152 N Central Ave, Los Angeles, CA 90012, USA
​■ ホームページ:https://www.moca.org/visit/geffen-contemporary