アメリカ、ロサンゼルス。西海岸最大の美術館で多彩な作品に出会い、新しく建造された建物の外観を眺める。
ロサンゼルスの現代美術館というと MOCA(ロサンゼルス現代美術館)というイメージがあり、ロサンゼルスを訪問するたびに MOCA と MOCA別館(ゲッフェン・コンテンポラリー)を訪れていた(別館は閉まっていることが多かったが)。ロサンゼルス・カウンティー美術館(LACMA)は、その存在は知っていたが、90年代は足を運ばなかった。
何故、足を運ばなかったのかと言えば、名前が Los Angeles County Museum of Art(ロサンゼルス郡美術館)だったからだ。そこにModern(近代)あるいはContemporary(現代)という言葉がなかったため、ローカルに特化した、かつ、展示しているものも欧州から集めた古い絵ばかりに違いない、と思い込んでいたのだ。

初めて訪れたのは2000年に入ってから。時間が余ったので、どこに行くか悩んでいた時にこの場所が浮かんだ。そして、実はこの美術館も近代・現代系の多くの美術品を展示しているという事実を理解することになった。敷地が広くビルがいくつかある。すべてをじっくり見て回っていたら一日かかってしまうだろう。
2020年より大規模改築が行われた。敷地の東側にあった4つの建物が壊され、David Geffen Galleriesという名称の巨大な建物が造られ、2026年4月19日に開館した。一般公開は2026年5月4日だったが、偶然にも私はこの2026年5月4日の月曜日に訪れた。この美術館は月曜日も開館している。そのため、他の多くの閉館している美術館の代わりにここを訪れることが多いのだろう。そうは言っても月曜日なので空いているだろうと思っていたが、敷地内の駐車場は満車で入れなかった。その後、私が訪れたのが、一般公開日の初日だったことを知り、混んでいた理由が理解できたということだ。

入口の前には、このLACMAを象徴するインスタレーション《Urban Light》がある。メディアで目にしたことがある方は多いのではないだろうか。2026年に訪れた際、敷地内の駐車場に止められず、敷地外の入口正面にあるビルの地下に車を止め、横断歩道を歩いている時に気付いたのは、正面左手に奈良美智の「森の子(Miss Forest)」の彫刻が設置されていることだ。2020年に設置されたということだ。日本人アーティストの作品が、目立つ場所に展示されているというのも誇らしい。

さて、敷地内に入り、中央右手にあるチケットカウンターでチケットを購入するとステッカーを渡され衣服に貼り付ける。この美術館にはゲートのようなものはなく、各建物に入場する人がこのステッカーを付けているかを係員が確認するシステムになっている。
まず、昔からある西側にある二つの建物について。BCAM (Broad Contemporary Art Museum)。個人的にはこの場所が一番のお気に入りだ。近代、現代美術作品を展示している。2026年訪問時には、ピカソ、マックスバックマン、オキーフ、ウォーホル、ホックニーが目についた。当然かもしれないが、草間彌生も展示されていた。


一つ、Michael C. McMillenという作家の「The Garage」という作品があった。壁際に古い扉があるのだが、壁自体が作品かと思いきや中に入ることができる。中はいい感じなので、訪れた際、まだ展示されているようであれば、是非見逃さないでいただきたい。



BCAMの北にあるResnick Pavillionは、どちらかというと博物館的な要素が大きい場所だ。2026年訪問時には、仏教に関する企画展が開催されていた。
さて、新しくできたDavid Geffen Galleriesだが、建物は二階建てで曲線が特徴的。設計はスイス人、ピーター・ズントー(Peter Zumthor)。建築界のノーベル賞と言われるブリツカー賞受賞者で、現代美術館では、ドイツのケルンにあるコルンバ美術館を設計した人だ(この美術館は個人的にとても印象に残っている)。

このDavid Geffen Galleriesだが、細長い建物がくねっているので大きさを表現するのは難しいが、ざっくり言うと、展示スペースの幅は40m程度、この40mのスペースがくねりながら300m程度続いているという感じだ。2階の展示フロアは10m程度の高さ、展示室の高さは5~6mというところだろうか。2階へは階段とエレベーター。エスカレーターはない。
展示室は細かく区切られておらず、大きな空間の中に作品が並ぶ。古代から近世にかけての美術品、工芸品が展示されているが、博物館的要素が大きい。絵画もあるが古典絵画だった。展示は、太平洋、インド洋、地中海、大西洋の4つのエリアに分けられていた。
日本のアイテムだと、屏風と陶器が展示されていた。博物館好きには楽しめる空間だと思う。しかし私は、近代・現代美術を見るために美術館を訪れているため、少し期待とは違った。ただし、ところどころに現代美術作品が配置されており、このあたりにはセンスの良さを感じた。


David Geffen Galleriesの北側には日本館(Pavillion for Japanese Art)がある。2026年含め、今までの訪問で開館していたのは、最初に訪れた2002年の一度だけだが、埴輪、縄文式土器、刀、浮世絵などが展示されているのには驚かされた。イギリス、大英博物館の展示よりも充実している。また建物内は螺旋状のスロープになっており非常に記憶に残っている。実はこの日本館だけを見る目的でLACMAを訪れ、日本館が休館していることを知り入場を諦めたことが2度ある。それぐらいまた訪れたい場所だ。

尚、2018年に訪れた際には、上述のBCAMで「デヴィッド・ホックニー(David Hockney) の 82 Portraits & 1 Still Life」という企画展が催されていた。知人の肖像画 82人プラス静止画一枚が展示された企画展だったが、この作家のセンスの良さを改めて認識、かつ、この企画展を開催してしまう懐の深さを羨ましく感じた。ちなみに、デヴィッド・ホックニーは、この企画展が行われていた時は、ロサンゼルス、ハリウッドヒルズ(Los Angeles Hollywood Hills)に住居兼アトリエを構えていた。


2002年から何回か訪れている美術館だが、2026年の再訪では以前とはまったく違うLACMAを見ることになった。今後、この美術館がどのように変化していくのかも楽しみである。
2002年、2014年、2018年、2019年、2026年訪問。
基本情報
■ 名称:LACMA (Los Angeles County Museum of Art)
■ 住所 : 5905 Wilshire Blvd, Los Angeles, CA 90036, USA
■ ホームページ:https://www.lacma.org/
■ その他 :作品の写真撮影は可能でした(2026年訪問時)。
Originally published on Feb 10 2019
Last updated on Jul 31 2026

